移動運用シャック候補としてのハイブリッド車──ノイズ測定で見えた可能性と課題
アパマンハムの私にとって、移動運用を楽しむ自動車はメインシャック。愛車が13年目を迎えたのでそろそろ買い替えを検討しており、前から気になっていた非常時給電システム付きハイブリッド車のノイズを測定しました。IC-7300での簡易測定により、エンジンやエアコン動作時のノイズは厳しいものの、それらが停止時には運用可能なレベルではないかと思います。

目次
- ノイズに悩むアパマンハムにとって、自動車はメインのシャックでもある
- 次期シャック構想──運用スタイルの改善
- 現在の課題
- ノイズはどれほど出るのか──購入前に実測
- まとめ──ノイズ対策に悩むことになるが、快適な運用ができるかも
ノイズに悩むアパマンハムにとって、自動車はメインのシャックでもある
自宅ではノイズに悩まされるアパマンハムの私にとって、移動運用は無線活動の主軸です。特にPOTAや公園アワードでは、車で公園の駐車場に行き、モービルホイップをルーフに設置して運用するスタイルです。交信数も圧倒的に移動運用が多く、車はまさに私にとってメインのシャックです。
次期シャック構想──運用スタイルの改善
現在使用している愛車は13年目。次の車検では部品交換が多くなりそうで、買い替えを検討しています。
現在の課題
自宅で充電したポータブル電源を車に積み込んで、移動運用に行きます。
電源系に関して感じている課題は次の通りです:
- 重い
- ほぼ1日運用できるが、毎日充電が必要(車中泊時、どうする?)
- FT991で安定した50W運用したい(今うまくいっていない)
ハイブリッド車のAC給電を活用した運用
ハイブリッド車のAC給電を使い、次のような構想を描いています:
- AC給電+DM-330MV+FT991Mによるオールモードフルパワー運用
- ポータブル電源は予備電源として常備。走行中にAC給電で充電
- 現在移動でメインのFT891Mは徒歩移動用に
- 遠方のPOTA対象公園での運用を想定し、車中泊も視野に入れる
自動車に求める要件――広さと電源、そしてコスト
アンテナや無線機、電源など機材が多く、運用は後席で数時間に及ぶため、車内と荷物室の広さは重要です。
加えて、ポータブル電源を使っている現状から、ハイブリッド車の100V電源に興味がありました。
ただし、プラグインハイブリッドや大型のミニバンは予算的に除外。
ACコンセントから停車時も最大1,500Wを供給できる非常時給電システムを備えたトヨタのハイブリッド車が、コストパフォーマンス的に魅力的な候補です。
また、最近の車は、優れた安全性能を備えているので、テクノロジーの恩恵を受けたいですね。
ノイズはどれほど出るのか──購入前に実測
ハイブリッド車はノイズが出るという話は良く聞いていました。そこで購入前に実際に測定してみることに。
トヨタのディーラーに相談すると、快く協力してくれ、非常時給電システム付きのシエンタを1時間ほど使わせてもらえました。
測定はIC-7300のスコープを使用し、
普段使用しているポータブル電源との比較も含めて以下のモードでノイズを確認しました:
- 停止/ポータブル電源
- 走行モード/AC給電(エンジンオン・オフ/エアコンオン・オフ)
- 走行モード/ポータブル電源(エンジンオン・オフ/エアコンオン・オフ)
- 非常時給電モード/AC給電(エンジンオン・オフ/エアコンオン・オフ)
- 非常時給電モード/ポータブル電源(エンジンオン・オフ/エアコンオン・オフ)
測定結果――ノイズの傾向と実用性
結果は以下の通りです:
- エンジンまたはエアコンが動作していると、ノイズが激しく運用困難
- 走行モードと非常時給電モードの違いはない
- エンジン、エアコン両方停止していると、若干のノイズはあるものの、実用可能なレベルではないか(実運用でテスト必要)
- エアコンが効いた快適な車内での運用はあきらめる
- 今回はノイズ対策をしていない状態なので、対策がどこまで効くのか今後の実験の余地あり
実際の運用に耐えられるレベルのノイズなのか、どれくらいの頻度でエンジンが作動するのかが気になります。
あとは実際に運用して確かめてみたいと思います。
実際のスコープ画像
撮影のための固定手段を忘れたので画像がバラバラ、きれいに撮れていませんが、測定した各モードのデータを掲載します。
【停車】 ポータブル電源(AC給電OFF、エンジンOFF、エアコンOFF)
ハイブリッドシステムは全く関係なく、ポータブル電源で給電した場合のスペクトラムスコープ。
これがベースとなります。
縦の筋になっているノイズは、近隣の太陽光発電設備などのノイズと思われます。
このノイズが無いところでやりたかったのですが、これは仕方がないですね。

【走行モード】AC給電(エンジンOFF、エアコンOFF)
分かりにくいですが、少しノイズが出ているようです。

【走行モード】AC給電(エンジンOFF、エアコンOFFからON)
エアコンを運転したとたんに、激しいノイズが出はじめました。この状態では運用できません。

【走行モード】AC電源(エンジンON、エアコンOFF)
エアコン停止中、バッテリー充電のためエンジンが動きだすと、激しいノイズが出ます。これも運用は無理でしょう。

【走行モード】AC電源(エンジンON、エアコンON)
エンジン、エアコンともに動いた時のノイズです。運用はもちろん不可能ですね。

【走行モード】ポータブル電源、AC給電OFF(エンジンOFF、エアコンOFF)
結構ノイズが出ているように見えます。AC給電もしていないので、何のノイズを拾っているのだろうか。

【走行モード】ポータブル電源、AC給電ON(エンジンOFF、エアコンOFF)
AC給電をONにした瞬間、波形はあまり変わらなかったが、ノイズ音が高くなった感じです。
アンテナでノイズを拾っているようです。

あらためてAC給電をOFFからONにすると、少しノイズが出ていることが分かりました。
オフからONの瞬間にノイズが高くなっています。やはり全域にわたってノイズが入りますねー。

AC給電をオフにすると、ノイズが全般的に少なくなりました。

【非常時給電】AC電源、AC給電ON(エンジンOFF、エアコンOFF)

非常時給電モードと走行モードの違いはありますが、AC給電によるノイズは同じの印象です。
【非常時給電】ポータブル電源、AC給電ON(エンジンOFF、エアコンOFF)
考えにくいのですが、ポータブル電源使う方がACよりノイズがひどく、雑音も少し増えた感じがしました。
AC給電によるノイズは、アンテナ経由で入っているのかもしれない。もしくは気のせいかな。

【非常時給電】AC電源、AC給電ON(エンジンOFF、エアコンON)
走行モードと同様に、激しいノイズが始まりました。

【非常時給電】AC電源、AC給電ON(エンジンON、エアコンON)
予想通り、かなり激しいノイズとなってしまいますね。

まとめ──ノイズ対策に悩むことになるが、快適な運用ができるかも
追加の試験が必要ですが、
今回の測定で、ハイブリッド車のAC給電を利用して移動運用が可能かもしれないことがわかりました。
車中泊時にポータブル電源充電ができるので、最低限、今と同様の運用が可能ですが、
ノイズ対策を施せば、さらに快適なシャック環境が構築できるかもしれません。
購入を検討し、スペアナなどによる測定とノイズ対策、運用を通じて、
快適な移動運用スタイルを模索していきたいと思います。
DE JS2AZO
HPE CU AGN SN.
GL 73 & 88.