アマチュア無線10年目の振り返り|初心者からPOTA運用まで

2025年5月26日で、開局9年になり、アマチュア無線歴10年目にはいりました。
開局40年、50年、60年、それ以上の方々がたくさんいらっしゃるこの世界では、まだまだ初心者です。

しかし始めたばかりだからこそ、初期のことを覚えているうちに記しておくと、自分の整理ができるとともに、
これからハムを始める方にとって、もしかして参考になるかもしれないと思い振り返ってみることにしました。

目次

全くの素人が、開局して交信するまで

2016年開局。始めたころの環境

2016年のトピックスといえば、今も人気のIC7300とFT991が世に出た年。また、FT8の前身、JT65が広まりつつありました。
そんな5月26日、免許状が届いて初めてのアマチュア無線局を開局しました。54歳の春です。

初めての無線機

実際には、4月の試験のあと自己採点で合格するであろうことがわかったので、
合格通知が届いたらすぐに開局申請するために無線機を検討。
IC7300かFT991か。かなり悩みました。

オールバンドで出られるFT991がかなり魅力的でしたが、HFで海外とのDX交信をやりたかったので、
ウォーターフォール搭載、初のSDRトランシーバーであるIC7300に決定。
近くにあるハムショップで予約して4月末のゴールデンウィーク初日に購入・入手しました。

この時のワクワク感、持って帰るときのうれしさと言ったら、すごかった。今でも鮮明に覚えています。

この時点で、まだ無線局の免許状は届いていないので、電波を出すことはできません。
この時ハムショップのご主人が、「これをつないで免許が来るまで聞いてなさい。電波出しちゃだめだよ。」
といってモービルホイップを貸してくれました。

購入したIC7300と電源。ここからすべてが始まった。アンテナチューナーも購入して、少しづつ準備。まだ電波は出せない状況
購入したIC7300と電源。ここからすべてが始まった。アンテナチューナーも購入して、少しづつ準備。まだ電波は出せない状況

初めてのワッチ

ベランダにモービルホイップを設置して、いや、単に置いて、人生で初めて本格的にアマチュア無線を受信しました。
7階建てマンションの6階、周りに高い建物もなく、比較的恵まれたロケーションです。

7MHzのSSBを、ひたすら、聞いていました。
「交信って、こういうふうにやるんだ」
「これがQSBか」「パイルアップってこんな感じか、すごい」
「交信しているようだが、片方しか聞こえないなあ」

試験問題やCQ誌、ハムのラジオで聞いていたことをひとつずつ実感していきます。
素晴らしいゴールデンウィークでした。

初めてのアンテナ設備

アパマンなので、HFアンテナ設置のハードルは非常に高いことを、事前に予想していました。

それでもHFで海外DXとの交信がしたかったので、必然的にATUエレメントと、アンテナチューナーの組み合わせを選ぶことになりました。ちょうどCQ出版から、最長2m少しのATUエレメントが発売されたので、ICOMのAH4と購入。
ベランダにカウンターポイズを敷設してアースとし、電波を出す計画です。

このアンテナ設備は強力とは言えませんが、HFすべてのバンド・モードで使うことができるという、とても大きなメリットがあります。

私のマンションでは、これ以外に選択肢がないとも言えますが、
この時はどのバンド、モードが自分に向いているか、好きなのか、全くわからなかったので、
この選択は大正解だと思っており、今でも現役で使っています。

実際の調整は、無線従事者免許証が届いて、開局申請し、無線局免許状が届くまでお預け。
今か今かと、審査完了を待ちました。毎日、総務省のサイトをチェックしていました。

ワッチ中の様子。マイクとスピーカーは、先輩からの贈り物。もちろんマイクは接続していない
ワッチ中の様子。マイクとスピーカーは、先輩からの贈り物。もちろんマイクは接続していない

無線従事者免許証とアマチュア無線局免許状

ついに、待ちに待った無線従事者免許証が到着。ホログラム?で、富士山が浮かび上がるデザイン。
とても気に入りました。到着日は正確に覚えていないのですが、写真の日付が5月1日なので、この日だと思います。
速攻で、ネットから開局申請。毎日総務省のサイトにアクセスして、免許申請の状態の進捗を確認していました。

そして、とうとう、アマチュア無線局免許状がとどきました。
この時のうれしいことうれしいこと。

私のコールサインは何だろう!

ついに免許状到着
ついに免許状到着

免許状に記載されたコールサイン 「JS2AZO」 を見た瞬間は忘れられません。
これからずっと付き合っていくコールサインとの出会いは、特別なものです。

ジュリエット、シエラ、ツー、アルファー、ズールー、オスカー

サフィックス(数字より後ろの文字列)の最初に、アルファーが付くのが特にいい。
パイルアップでコールするとき、アルファーは叫びやすいし、自身のイニシャルでもあります。

とても気に入りました。

アマチュア無線をやることに決めてから約6か月。
すべての準備が整った瞬間です。いよいよ、電波を出せるようになりました。

開局と初交信。相手は偶然、私の生まれ故郷に移動した局

アンテナの調整などを終えてから、5月29日。
7MHzのSSBでCQを出している局を、思いきってコールしてみました。

応答があり初交信。必死だったため何を話したか覚えていませんが、偶然にも私の生まれ故郷で移動運用している局でびっくり。
忘れられない、初交信となりました。

SSB中心で運用した無線設備

初めてのシャック。とてもシンプル。今と同じ100Wで、これでも十分海外と交信できる。バンドプランやエリアがよくわからなかったので、貼っている。
初めてのシャック。とてもシンプル。今と同じ100Wで、これでも十分海外と交信できる。バンドプランやエリアがよくわからなかったので、貼っている。
6階の自宅ベランダから出したATUエレメント
6階の自宅ベランダから出したATUエレメント
どこにアンテナがあるかわかりますか?これでヨーロッパやロシア、アジアと交信できました。
アンテナを設置したベランダの様子。固定に結構苦労していた。普段はベランダ内に収納している。
アンテナを設置したベランダの様子。固定に結構苦労していた。普段はベランダ内に収納している

このころの交信

開局したての頃は、ほとんどが7MHz SSBで交信していました。
大体、1日に10交信程度。ハムログを使っていて、Remarks2に感想を入れていました。

結構交信に苦労するケースが多かったようですが、北海道や九州などと交信するたびに大喜びしていたことを思い出しました。
最近はほとんど感想を残していないなあ。できるだけメモしてみよう。

10日ほどで、初海外、お隣の韓国の局と交信。韓国の局は日本語が上手な方が多くて、盛り上がりました。
「初海外、日本語だけど、初海外。〇さん、最高!」
というコメントを残しています。

アマチュア無線を始めた頃の、ハムログの一部
アマチュア無線を始めた頃の、ハムログの一部

アマチュア無線を始めることを決める前から、転居の準備をしており、8月に引っ越しました。
引っ越し前の交信は、233局。7階建ての6階で、近くに大きな建物もなく、それなりに楽しめたと思います。

開局後まもなく転居してノイズに苦労することになる

アマチュア無線を初めて3か月弱に転居しました。
転居先は、駅の傍。周りに高いマンションもあります。

無線に使えるベランダもとても狭く、条件が悪い。
アマチュア無線を意識する前に転居先を決めていたので、受け入れるしかありません。

アンテナの設置

アンテナを設置できるベランダは、幅2m弱、奥行き1mちょっと。
設置できるHFアンテナは限られており、引き続きATUエレメント+アンテナチューナーAH4で頑張るしかありません。

救いは、7階建ての7階であること。上空は空いているわけで、工夫できるかもしれません。
カウンターポイズで、高周波アースは問題なさそうです。

アンテナをつないで受信してみると、すぐに異常に気づきました。

当初ベランダに設置したATUエレメント。現在は、エレメントはほぼ外に出るようにしている
当初ベランダに設置したATUエレメント。現在は、エレメントはほぼ外に出るようにしている

ノイズが激しいことに気づく

受信してみると、非常にノイズレベルが高い。時々途絶えるものの、ほぼ24時間、バリバリとノイズが入ります。
すぐ隣の建物に設置された太陽光発電設備からのノイズだと考えられます。

アマチュア無線を続けるには、結構致命的な状況です。
これではかなり楽しみが制限される。ショックでした。

ただ、今から思えば、自宅シャックがノイズまみれだからこそ、見つけられた楽しみがあります。

前向きの表現をすれば、ノイズのおかげで、ノイズに強い電信モードの習得、リモート運用の導入、移動運用に、
全力で取り組んでいくことができたのかもしれません。

バンド全体に筋状にノイズが入っている。バリバリと激しい音がする。今も変わらない。
バンド全体に筋状にノイズが入っている。バリバリと激しい音がする。今も変わらない。

転居後、このころの交信。コンテストで海外交信も経験

SSBでは、7MHz以外も開始。コンテストで、ウクライナなど、さらに遠方の海外交信を経験し始めました。
ベランダに出した小さなアンテナから出た電波が、地球をめぐっていく。

この感動を実感していました。
これは今でも、無線を行う一番のモチベーションになっています。

3.5MHz、14MHz、21MHz、50MHzなど、違うバンドも経験し、少しずつ特性を理解し始めました。

やはり、貧弱とはいえ、コンパクトでHF帯のオールバンドに出られるATUエレメントは、アパマンや初心者に向いていると実感です。

QSOパーティ―

お正月の恒例は、QSOパーティ―。2017年は、1月2日、3日の二日間で20局以上交信すれば申請でき、
干支のシールがもらえる恒例のイベント。QSOパーティーだけは出るという局も多いと聞きます。

2017年のQSOパーティに初参加。まだCQを出したことがなく、HF帯のみですべて呼びまわりです。
この時、20局の達成にとても苦労したことを覚えています。

皆さん活発に交信されているのに、コールしてもなかなか取ってもらえない。
ようやく20局交信できたのが、3日の17時23分。(今見返してみると、テニス仲間だった。)

実力的に、この程度だったということでしょう。ヘロヘロでした笑が、申請できて大満足でした。

HFだけではなく、UHF/VHF帯でも交信できるようにする必要性を感じ、
この後すぐに導入、時々交信するようになっています。

移動運用、電信モード、リモート運用&デジタルモードでアマチュア無線の世界を拡げる

自宅設備のノイズが激しく、かなり限界があることを実感していたので、なんとか制約を逃れるために、いろいろトライし始めました。
移動運用、電信、リモート運用&デジタルは、私にとって救いの神です。

移動運用

自宅シャックのノイズから逃れるため、移動運用を始めました。
また、各局からコールされるパイルアップも経験したい。

ちょうどそのころから始まっていた公園アワードが、非常に魅力的でした。

先輩に移動運用に連れて行ってもらったのが、2016年9月。
単独による初移動運用は2017年2月19日。

いろいろ設備を試す中で、移動先から移動局をコールしました。

無線機は、FT991M。先輩から中古で安価に譲っていただきました。本当に助かりました。
始めたころの電源は、魚釣りのリール用に使われたりする、ディープサイクルバッテリー。
これで2~3時間運用可能です。

アンテナは、運用するときだけ、マグネット基台を車の屋根に置いて、
モービルホイップHF40CLとアースのMAT50をセットするスタイルです。

自作する能力がなかった(今もない笑)ので、全て市販品でそろえています。
今の運用スタイルと、基本的には同じです。これだけで十分楽しめます。

最初の本格的な移動運用は近所の朝宮公園PK20-47

2017年3月4日、近所の朝宮公園で最初の移動運用。
7MHz SSBモード。最初に試しに大分県の移動局をコールして交信が成立した後、7.080MHzを確保してCQを出しました。

朝宮公園で移動運用
朝宮公園で移動運用

高知の局が、最初にコールしてくれました。移動運用初CQへの応答です。
1時間20分で12局と交信。少ないですが、おそらくいっぱいいっぱいになって必死にCQを出していたはずです。

車内のようす。きわめてシンプル。見えにくいがリグ右側にバッテリーがある(FIAMM製バッテリー)
車内のようす。きわめてシンプル。見えにくいがリグ右側にバッテリーがある(FIAMM製バッテリー)

アンテナ基台にアースとモービルホイップを取り付けただけ。現地到着後、短時間で運用開始できる

続いて、3月5日に、再び朝宮公園に移動。
1時間で30局と交信。交信時間間隔を見てみると、複数から同時に呼ばれていたと思われます。

初めてクラスターにも掲載されました。(その割には交信数が少ないなあ。。。)

初めてのクラスター掲載

公園アワードの対象公園に移動運用すれば、たくさんの無線局からコールされる!

一度CQを出すと60局、70局と交信できることも経験し、
自分が主役になって交信を進めていける移動運用の魅力に気づきました。

当然、最初からうまくいくわけがなく、CQを出してもあまり声がかからなかったり、
混信を与えているのに気づかず怒られたり(コンディションの関係で仕方ないことも多いので気にしない)、

一斉にコールされてよくわからなくなったりしますが、
移動運用で多くの局と交信できる楽しみは格別です。

6mAMロールコールミーティングのキー局をやらせてもらったりしながら、
このあと愛知県、岐阜県の公園を中心に移動運用にはまっていき、モードもSSBから電信、FT8に。

日本の公園アワードの経験から、世界的に流行しているPOTAに軸足を移して、今のメインの楽しみ方になっています。
移動運用をやっている人たちとも知り合うことができました。

POTAの運用の仕方、アンテナのノウハウ、徒歩移動に適した機材など、
知り合った人から多くのことを学んでいます。

あのころ、移動運用を始めてよかった。正直な感想です。

電信をできるようにする

1アマを取得したとはいえ、電信の実技試験はなかったので、開局当初、電信はできませんでした。
和文モールスにまで手を出すかは別として、欧文モールスには、とても興味がありました。

また、電信による交信は、帯域が狭いので、ノイズに強いという特性もあります。

ノイズの対策になる。やってみよう。

免許の試験のために、とりあえず合調法で符号は覚えており、免許取得後、CQ Morse CDで音響受信練習はやっていたので、
2018年2月にベンチャーのパドルを購入。交信に向けて欧文モールスの練習をスタートしました。

パドルをつけると、アマチュア無線局の範囲が広がります。
パドルをつけると、アマチュア無線局の範囲が広がります。

送信練習は、ハムログの交信履歴をパソコンの画面に表示しながら、ベンチャーを無線機につないで電波を出さずに、
コールサインを片っ端から打鍵する練習をしました。

合調法で覚えているので、Aを見た瞬間、アレーとつぶやきながら・―と、短点と長点を出す。
こんな感じで比較的短期間で、送信はできるようになったと思います。

なかなかうまくいかないのが受信です。

・― と聞いて、アレー → A なんてやっていると全く追いつかないので、
聞いてすぐに文字が浮かぶように、何度も何度も練習する必要があります。

CD、スマホアプリ、パソコンでモールス符号をランダム再生して、聞き取る練習を繰り返し実施です。
送信練習と並行してやっていると、そのうち符号を聞くとアルファベットが分かるようになりました。

とにかく交信する方が上達が早い。
そういわれて、とにかくトライ。

初交信は、2018年2月18日。何度もCQを出している相手のコールサインを聞いて確認し、
JS2AZOと、こちらのコールサインを打鍵。

幸運にも自分のコールサインが返ってきたので、599 TUと打って終了。
そこに至るプロセスは長かったものの、あっという間に交信は完了し、電信デビューを果たしました。

やってみれば、思っているより、案外簡単なものです。
この初交信から、電信にどっぷりと、はまっていきました。

電信でコンテスト、海外との交信が容易にできる

電信を始めてから、海外のコンテストが面白くなりました。

例えば2018年5月26日に行われたCQ WPX CW Contest。
ベランダに設置したATUエレメントと50Wで、主に14MHzで参加し、
ヨーロッパ、北米、アジアの各局と交信しています。

もちろん、こちらが何度コールしても相手に届いておらず、全くコールバックがないことはたくさんありますが、
比較的簡単に、シンプルに、海外局と交信が完了するのは快感です。

2018年11月24日のCQ WW DX CW Contestの際の、カナダ局との交信は、意思が通じ合った感覚があって、今でも忘れられません。

相手のコールサインが取れるまで何度も何度も聞いて、
取れたら自分のコールサインを打つ。

自分のコールサインが返ってきたら(自分のコールサインだけは分かるようにしておく)、
59925TU(CQ WW DXの場合)と打つ。

ほとんどこのパターンで交信完了です。
コンテストはCWに慣れるのに最適です。

移動運用でも電信

1年ほど、呼びまわりメインで電信を運用していました。
電信でCQを出すのは、心理的にとてもハードルが高かったのです。

かなり思い切って、2019年2月10日に移動運用でCQを出しました。

多治見運動公園(PK19-33)は、よくテニスをする公園で、
閉鎖されていることもありますが広い駐車場があり、移動運用しやすい公園です。

初CQを出した際のアンテナ。HFV5を使ってよいロケーションなので、もっと交信できた気もするが、当時これがベストです。
初CQを出した際のアンテナ。HFV5を使ってよいロケーションなので、もっと交信できた気もするが、当時これがベストです。

車内の写真を撮っていなかったのですが、移動運用の電信で初CQ。
7MHz電信で16局と交信しています。

電信の周波数帯は空きがあることが多く、
SSBのように周波数確保に苦労することなく、運用できる点も気に入っています。

これ以降、移動運用は、公園でのCW+FT8がメインになります。

ちなみにPOTAを明確に意識したのはこのころです。
情報源は、ハムのラジオ(https://hamsradio.net/ham/)です。

このラジオ番組はずっと聞いており、新しいトレンドを教えてくれるので、貴重な情報源となっています。

電信能力の向上

今では、電信が一番好きなモードになりました。
いかにも無線で交信しているという感じが、最高です。

また、ノイズに強く、少ないパワーでも飛んで行ってくれます。
アパマンでノイズまみれシャックの私にぴったりです。

ただ、モールス符号を聞くと、その文字が頭の中に自然と浮かぶ(暗記受信)というのはよく聞きますが、
9年以上たった今でもそんな芸当は全然できません。ひたすら、紙に書くかパソコンに打ち込んでいます。

いつか、できればいいなあと夢見ながら、引き続き受信練習を続けています。

2年前から和文も練習中で、少しずつ交信を始めました。

約2年、毎朝10分ほど通勤の車内で、和文のランダム受信練習をしています。
かなり苦戦していますが、なんとかわかるようになってきました。

そろそろ本格的に和文交信デビューしたいと思っています。

中学生、高校生の頭が柔らかいうちに電信を習得しておきたかったところですが、
この歳から始めても、時間はかかりますが、何とかなる気がします。

引き続き、受信能力の向上と、暗記受信の習得をめざして、練習を続けています。

リモート運用とデジタルモードで、DXCCを追いかける

アマチュア無線の魅力は、やはり遠方の無線局と交信することです。
全世界の無線局と交信するアワードDXCCは、挑戦してみたいアワードの一つ。

集合住宅に住む私にとって大きなアンテナは難しいのですが、
小規模、弱小出力でも海外の無線局と交信できるデジタルモードFT8のおかげで、
DXCCを追いかけることができています。

デジタルモードでDXCCを狙う

免許取得の勉強をしている時から、ハムのラジオを聴いていました。
このラジオ番組は、新しい話題をいち早く紹介してくれます。

ある日の放送で、JT65という、EMEで微弱電波交信に使われているモードが、
HFでも使われるようになり、広がりつつあるという情報を得ました。

アマチュア無線の花形、DXCCを、アパマンの私でも狙えるかもしれない。
しかもIC7300は、USBケーブル1本でパソコンとつなぐだけで、このモードをすぐに使えるらしい。

無線機とパソコンの接続、パソコンのセットアップ、免許申請などを経て、
2017年6月29日、JT65でEuropean Russiaの局と初交信しました。

パソコン画面に、CWやSSBで聞いたことがない国や地域のコールサインが表示されるのを見て、
とても興奮したことを覚えています。
しかも、電信やSSBでは難しいのに、交信できてしまう。

一気にデジタルモードにも、のめりこんでいきました。

JT65は1交信にFT8の4倍の4分~5分程度かかります。
夜中に応答を待ちながらパソコンを眺めていると、眠ってしまっていて、
知らない間に交信が成立していたということも、よくありました。

そのうちFT8を運用する人が増えて一気に人気が爆発。
DXCCを一層、追いかけるようになりました。

現在、これを執筆時点で、MixでDXCC148となっています。

リモート運用で、マンションでは不可能なアンテナを設備する

素晴らしいことに、ICOMから、当時RS-BA1(現在はRS-BA1 version2)
というリモート運用ソフトウエアが発売されており、CWを含む全モードを、リモートで運用できます。

申請が必要で、3時間以内に行ける場所であるなど、条件がありますが、
自宅マンションから、別の場所に設置した無線機を通じて交信可能です。

シンプルなリモート局。最初はスティックパソコンを使用
シンプルなリモート局。最初はスティックパソコンを使用

とてもありがたいことに、XYLの実家にアンテナを建ててもいいよという許可を得たので、
戸建てのベランダに、V型DPを設置。2016年12月から運用を開始しました。

XYLの実家に設置したVDP。このあと、より大型のナガラ製VDPアンテナに付け替えた
XYLの実家に設置したVDP。このあと、より大型のナガラ製VDPアンテナに付け替えた

リモート局を固定局とし、自宅マンションは移動する局の常置場所として、
メインをリモート局に移し、運用することにしました。

これで、自宅マンションのノイズ環境から逃れて、快適に運用することが可能に。
実際は、そばに無線機があるのが一番良いのですが、仕方ありませんね。

リモート局の運用画面
リモート局の運用画面

リモートでFT8の運用は快適にできます。
まさにリモートはFT8のためにあるようなものです。

FT8を運用中の画面。リモート局に設置したパソコンの画面を、自宅のパソコンで表示し、操作している
FT8を運用中の画面。リモート局に設置したパソコンの画面を、自宅のパソコンで表示し、操作している

遅延があるのでヒューマンモード(SSB、CW)の運用は、少し問題が出てきます。

SSBは何とか許容できる範囲ですが、
電信については、受信の遅延が結構致命的で、リモート運用はいまいちです。

そこに無線機があるのと同じようにリモート運用できれば、最高なのですが、実現できていません。
リモートによる電信の運用は、とても興味のあるテーマで、うまく構築されている例があるようです。
学んでみたいと思っています。

ネットがあれば、どこからでも、モバイル端末でもリモート局を運用できる
ネットがあれば、どこからでも、モバイル端末でもリモート局を運用できる

アパマンハムの私にとっては、FT8とリモート運用は救世主。
おかげでなんとか、DXCC100を実現することができました。

リモートで電信をどう実現するかなど、さらにチャレンジしたいと思っています。

DXCCの証明書
DXCCの証明書

アメリカのコールサイン取得と、海外DXバケーション

先輩から、グアムで運用しようとお誘いを受けました。

有名なレンタルシャックを借りて、ちょうどオセアニアコンテストの最中に、
世界を相手に運用しようという、超魅力的なお誘いです。

もちろん、「喜んで」参加しました。

アメリカのコールサインを取得

日本のコールサインを持っていれば、グアムの場合コールサインKH2/JS2AZOで、手続きなく運用可能ですが、
日本で免許されている周波数、出力範囲(私の場合100W)に制限されてしまいます。

アメリカのコールサインを取得すれば、その制限はなくなります。

どうせなら1kW運用したいので、アメリカの免許を取得することにしました。
幸いにも、日本の各地で試験が行われており、グアム渡航前にチャンスは1度。
横浜で行われたFCCの試験を受けました。

FCCの試験は、Technician、General、Extraがあり、Extraが最上位。
とりあえずGeneralを持っていれば、若干周波数の制限がありますが、出力はkWで運用可能です。

Technicianから順に取得する必要がありますが、1日でExtraまで取得可能です。
なんとかGeneralまで合格し、コールサインKJ7AQIを取得。グアム渡航に間に合いました。

グアムでDXバケーションを楽しむ

まだアマチュア無線の経験が浅いにもかかわらず、
先輩の素晴らしい行動力のおかげでDXバケーションを楽しむことができました。

フライトでグアムに着くとそのままレンタカーでレンタルシャックに移動。
ベッドも備え付けられたシャックで、ひたすら3日間、無線運用しました。

いちおう電信も準備していましたが、SSBだと1kW出してもいいということだったので、ほとんどがSSBによる交信。
ちょうど開催されたオセアニアコンテストに参戦し、グアムで好成績を収めました。

日本から見ればグアムは交信しやすい地域になりますが、欧州から見れば、比較的難しい地域になります。
コンテスに参加したこともあり、欧州や日本を中心に多くの局からコールされました。

この時初めて、ローテーターでビームアンテナを回して交信するという、素晴らしい体験をしました。
充実したアンテナ設備と、1kWの高出力を、めいっぱい楽しむことができたDXバケーションでした。

グアムのDXバケーションの際に発行したQSLカード。有名なレンタルシャックで素晴らしい経験をした
グアムのDXバケーションの際に発行したQSLカード。有名なレンタルシャックで素晴らしい経験をした

あとから考えてみると、グアムに行っていながら、
シャックにこもりっきりで、海はほとんど見ることがありませんでした。

将来的には珍しい場所で運用するDXペディションに参加したいという気持ちはありますが、
まずはお手軽なDXバケーションで、楽しみながら海外運用から、もっとやってみたいと思います。

素晴らしい経験をさせてくださった先輩に、いまさらながら感謝です。

記念局運用

いつも関ハムが開催されている大阪府池田市池田会館は、私が通った高校のそばにあります。
2023年初めて行ってみました。ここでは、立派なアンテナが設置されており、1kWの記念局運用ができます。

空きがあったので申し込み、運用させてもらいました。

関ハム会場と、屋上に設置されたアンテナ
関ハム会場と、屋上に設置されたアンテナ
電信運用中のリニアアンプ。針がビンビン振れて1kWを指すが、運用中なのでうまく写せずピンボケ~
電信運用中のリニアアンプ。針がビンビン振れて1kWを指すが、運用中なのでうまく写せずピンボケ~

アイコムのリニアアンプ、IPW1には、出力のアナログメーターがついています。
ノイズが思ったより激しく、受信に苦労した覚えがありますが、
電信でコードを打つたびに、針が1kWまでビンビン振れるのが、快感でした。
思い切って記念局で電波を出す経験は、その後の自分にとってとても貴重でした。

気をよくして、東京で行われたハムフェアでも、早朝から並んで記念局運用の権利をゲット。
電信で楽しみました。

各局からコールされる快感は、最高です。

これから、集中したいこと

アマチュア無線は、とても奥が深く、楽しむことができる分野が広いのが特徴。
9年やって、衛星通信やARDFなど、まだ経験できていない分野がたくさんあります。

その中で、ようやく自分が好きな分野が見えてきた感じがします。

アマチュア無線は、自分の本当に好きな分野を見つけ、本当に楽しめるようになるのに、
それなりに時間がかかるのかもしれません。

奥がとても深いので、これから永く深く楽しめると感じています。

どのように深堀しつつ、どこに広げていくのか、
これからの3年でやりたいことを、今のタイミングでリストアップしておきます。

電信をさらに追及する

欧文交信の受信力向上、暗記受信能力の獲得、和文の習得、英語平文による交信など、
電信だけでも挑戦しがいのある分野がたくさんあります。

  • 欧文受信能力向上:受信スピードの向上と正確性を追求し続ける。現在22WPSを25,30に
  • 和文交信の経験:リラックスして和文交信できる境地に達したい
  • 暗記受信能力:欧文、和文ともに、メモすることなく理解できるように

POTA移動運用

POTA最高!なので、引き続き重点的に取り組みます。
今まではあまりアワードを意識していませんでしたが、愛知県POTA CW愛好会のメンバーを見ていると、
アワードを意識してゲットしてアクティビティを高めています。
もう少し私も意識してさらに楽しみたいと思っています。

  • 岐阜、三重、静岡、滋賀、福井、石川、富山、長野の全POTA対象公園アクティベート完了
  • POTA10000交信、100アクティベート、1000unique park HUNT
まさしくこの気持ちです
まさしくこの気持ちです

移動運用の充実

移動運用がメインになっており、さらに強化したい。

対応できるバンド・モードを増やしながら、徒歩も対応できるようにして、移動範囲を広げたいですね。
また、進歩著しいバッテリーや、ハイブリッド車など、うまく導入して快適に移動運用ができるようにします。

  • 徒歩移動運用できるよう設備を整える
  • HF帯全バンド対応と、衛星通信などモード増
  • 車による移動運用をさらに快適に
モービルホイップ+50Wでも、場所を選べばすごいパイルを浴びることができる移動運用は最高だ
モービルホイップ+50Wでも、場所を選べばすごいパイルを浴びることができる移動運用は最高だ

リモート運用

遠方の局との交信が、アマチュア無線の醍醐味の一つです。
私もDXCCを追求したいのですが、それなりのアンテナが必要です。
リモート運用を強化して、DXCCへの挑戦を続けたいと思います。

  • パドルを使ってリモート局からCW運用
  • リモート局のアンテナを、オールバンド化、性能強化

他にもやりたいことがたくさんあります

以下は夢のレベルかもしれませんが、追いかけていきたいです。

無線の楽しさを伝える活動

アマチュア無線の人口が少しでも増えれば、うれしい。
何をしたらよいのかよくわかりませんが、何かやっていきたいですね。

アマチュア無線用ツールの制作

みんなに使ってもらえるWebサービスやツールを立ち上げたい。
これも何をしたらよいのかよくわかりませんが、挑戦したい。

DXペディションへの参加

全くの夢ですが、CWの運用能力を高めて、有名なペディションに参加したい。
桁外れのパイルアップを浴びて、さばいてみたい。

無線を初めてからの9年間は、あっという間に時間が過ぎていきました。
自由時間の多くを、無線関係に費やしています。
これだけ打ち込める対象があることは幸せです。

50を過ぎて始めた趣味ですが、おそらく、これからも無線を楽しんでいくでしょう。
多くの方と、お空でお会いできることを、楽しみにしています。

DE JS2AZO
HPE CU AGN SN.
GL 73 & 88.

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